『いい人ランキング』
一冊目を読み終えた私は二冊目を探しに図書館に向かいました。この二冊目って私的にとても重要で慎重に選びたいものでしたね。今後も読書を続けていくかの分かれ目になりそうな本でしたし....。
そして選んだ本は吉野万理子さんの『いい人ランキング』という作品です。
この本を選んだ理由はそでの部分の文章を読んだからでした。
人の悪口を言わないし、掃除はサボらないし、
「宿題を見せて」と頼まれたら気前よく見せる人。
「いい人」と呼ばれるのは、いいことだと思っていたけど、実は......?
この文章見て、この先に作者がなんと言おうとしてるのかが気になって借りました。
簡単に言うと、この本はいじめについての内容でした。
クラスで行われた「いい人ランキング」で一位に選ばれた主人公。この子はいい人というラベリングをクラス中からされたことで、何に対してもいい人であるように心がけます。それが、どんどんエスカレートしていじめのようになっていくのです。
そんな「いい人」のラベリングに苦しみ始めている主人公。しかし、妹や師匠(主人公の同級生の男の子)はいい人ランキングで一位になったのにも関わらずクラスでいじめられることはありません。
じゃあ、何が違うのか?
それに対して師匠は「心底いい人」と「いい人を演じている人」の差だと言いました。
これに私はとても納得しました。
心底いい人って他人を疑うこともない。人を蔑もうともしない。悪意なんて持ってる人がいない。そう信じて、それを前提に動いてるんですよね。
私も心底いい人に会って仲良くなった時に驚きました。こんな人いる?今までどうやって生きてきたの?
そして、少しの苛立ちを感じるのです。「何が悪い部分ないかなー」と自分の黒い部分が出始めるのです。きっと、そうでもしないと私は自分を保てない弱い人なのかと思います。でも、こんな人って意外といると思います。というか、誰かに共感してほしい。
しかし、実際に私はこの友人と未だにいい関係を続けています。というのも、原始的な考えを理性でなんとか抑えているからです。
「原始的な考え」というのは、どういうことかと説明しますね。これは、昔の猟ることへの本能のようなものです。悪知恵をつかって罠にはめたり、マウンティングをしたりすることです。
この本ではこの原始的な考えを抑えられてない人がいじめをしていると師匠が言っていました。
理性って大切ですね。
あともう一つの「いい人を演じている人」は圧倒的に多いと思います。
いい人度合いでは、心底いい人には敵いません。いい人を演じつつ、ナメられないように強い部分を小出しにしていく。強い部分というのは、知識や面白さなどがあります。
ここで、ポイントになるのが小出しするということです。出しすぎると、それは他の人が許してくれません。ウザい人となるのです。(心底いい人は優しさを無意識に出しすぎてる、とも言えるのかもしれません)
このことって結構沢山の人が無意識の領域でやっていると思うんですよ。皆さんどうですか?私も自分のことをひけらかすことは、あまりしません。あえて、自分を下げてみたりもしています。
今までの交友関係で無意識にしていたことを、この作者に言語化されたような気がしました。そして、自分がいい人を演じようとしているのだと自覚させられてしまいます。
このブログにも書いた「舞台」に通じてるところがあるかもしれないですね。
そう考えると心底いい奴とかナルシストって言われる人って何にも縛られてなくて一番自由な人たちなのかもしれないですね。羨ましい。
私はずっと縛られていくタイプかも...。