『舞台』
小説を読み終わったので感想をブログに残していきたいと思います。
最近本を読む習慣がなくなってきているので、また習慣づけしたいです。というわけで、西加奈子さんの本をまた習慣化するための一発目の本として選びました。1ページの文字量も多くないので割りかしサクサクと読めました。
西加奈子さんの『サラバ』という本を以前読んだのですが、この本は心を鷲掴みにされて、無理矢理揺さぶられてる感覚になりました。なんか分からないものに、ゾクゾクさせられる不思議な感覚の本でした。
そして『舞台』もまた違う形で鷲掴みにされてました。
ここからは、内容に関係するものが入ってくるのでこれから読む人は気をつけてくださいね!
この本、とにかく主人公がずっと不幸すぎる。いつ救われるの⁈って思いながら読んでました。
主人公の性格が本当に湿っぽいんですよね。ネガティブすぎる。でも、話を読んでいると「これは湿っぽくなるわー」と納得してしまいましたね。
主人公の性格をザックリ説明すると、周りの目を気にしすぎてる人です。他者から求められる自分をし続けることは主人公にとっては耐えがたい苦痛です。でも、主人公は自分がしたいことをするのにも恥ずかしい苦しさが湧いてくるのです。この、何をしても苦しいだけじゃないかという性格が主人公がずっと不幸たる所以です。
こんな主人公が好きな作家の名前が小紋扇子(こもんせんす)なのも、皮肉っぽくてすきです。
そんな主人公はニューヨークに一週間程度の旅行に行きます。
しかし、そこにも不幸は待ち構えていたのです。
初日に訪れたセントラルパークで携帯とわずかなお金以外すべて盗まれます。
主人公の苦しみは旅行先で色んなものを失ったことで溢れ出します。そして、主人公の行末は...。という感じです。
主人公の何をしても苦しいっていう状況ってまさしく私にも共通するんです。
例えば、周りに流されてなんとなく笑ってる時、私は自分が嫌になります。
例えば、道を間違えた時に立ち止まって誰かを待ってる風を装って来た道を戻るときは恥ずかしい気持ちになります。
例えば、留学に行ったことがあると紹介されるとどことなくしっかりしてる知的な雰囲気を出す時に苦痛を感じます。
例えば、誰かがカフェの写真をおしゃれに、いかにもな投稿をしているのを見ると恥ずかしい気持ちになります。
周りの期待に応えようとすると自分が嫌になる。そのくせに、周りに自分の欲望のままに動いている人を見ると恥ずかしい人だなーと他人を思ってしまう。
私はそんな自分が嫌いだし、早くこの苦しみはなくしたい。
でも、主人公を見てて思うのはきっとこの苦しみはずっと私に纏わり付くことだということです。死ぬまで消えないだろうなと思います。
結局のところ、私は死ぬまで周りの人が求める自分と自分がしたいことのバランスを取りながら生きていくしかないのかなと思います。そうやって上手く付き合っていくことで自分の中で苦しみや恥を抱えた上で、楽しんでいくしかないのかなと思います。
舞台の中で幕間を挟みつつ、人が求める私を演じていくの人生なのかもしれない。
と感じた、20歳の秋。